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スタッフ便り
・・・・最近のあれこれ・・・・
by T.S


  「復旧作業」

 ゴティプア舞踊団が帰国してから約一ヶ月経つ。復旧作業は美術館の子供の部屋(普段、スタッフが食事をする場所)、事務室の奥のストーブが置かれている面の壁、階段の所の壁、二階制作室前の天井近くの壁の石膏ボード貼りまでは終了しているが、美術館の方は 一時中断して、さしあたり宿泊施設用として使用している教員住宅に移っている。教員住宅は地震で一階は全ての部屋の壁が崩落、窓は外れ玄関も同様に外れている。台所の流し台の背面の壁も崩落し、外が見える状態である。風呂場も壁、天井が落ち、タイルも剥がれている。二階は比較的無事だったが、所々壁が落ちていたりしている。また、建物全体も少し傾いているようである。各部屋の畳を全て剥がし処分し、新たに市から救助物資としていただいた畳を運び入れる。崩落した壁面の残っている土壁を落として、新たに桐縁を打ち石膏ボードをビスで打つ。また、壊れた屋根を修復する。また、かすがいが破壊されていたのでこれも補強。一階二部屋の出窓を取り除き、今まで障子があったところに窓をつける。その上部に雨よけの小屋根を作る。等々。これだけの作業でも二、三週間近くかかっている。一時期、全国から集まってきた多くのボランティアの方々をボランティアセンターから派遣していただき作業が早く進んだが、そのボランティアセンターも十一月末で閉鎖になったので、現在は館長を含めスタッフ三人を中心に作業を進めている。以前より断熱材を入れてないので、かなり涼しくなっているのではないかと思うが(台所の流し台の背面の壁には入れている)。現在、二階の作業が終了した二部屋に運び入れた畳を入れ、そこに私を含めてスタッフ二人が暮らしている。(この畳が全て大きさがまちまちで、四畳半の部屋に入れようとしても大きすぎて入らなかったりするので、小さい畳と合わせて入れる。できた隙間(五センチ幅くらい)に茣蓙を詰める。)とは言ってもまだ風呂場は使えないが。風呂は館長一家が住んでいる月見邸とワルリーハウス、そして今日(十二月二日)ようやく美術館の風呂が使えるようになった。教員住宅の風呂場は今、修復中である。また、水は出るのだが流し台が壁を修復するため動かしているので、使えない。ちなみに修復中の風呂場だけだがお湯も出る。
 ワルリーのゴルカナさんはゴティプアが帰国してからも、サダシさんと復旧作業を手伝いつつ、時間を見つけては急遽スペースを作った体育館で絵を描いていたが、十一月末に大作「?」(お米をたくさん描いた絵)を完成させた。ゴルカナさんのこの新作の絵は今年の七月に来日してからすぐに取り掛かり初めたので、約五ヶ月近くかかって完成させた。サダシさんは大池で地震を体験するなどハプニングはあったが、ワルリーの二人は予定より一月早く、十一月二十六日に無事帰国した。成田からは途中ダッカで一泊した後にインド・カルカッタに到着する。ゴルカナさんに聞いたところによると、インド・カルカッタに着いてからワルリー村(ムンバイの近く)に到着するまで、さらに約一週間近くもかかるそうである。帰国したからといって、家までの旅路はまだ長そうである。私も一度はワルリー村に行ってみたいと思っているのだが、なかなか時間的にもそう簡単には行けそうもない。・・・。
 地震から早くも一ヶ月以上が経ち、十二月に突入した。かなり寒くなってきて、ストーブ無しではいられなくなっている。毎日、雨が降っていて、明日にでも雪に変わりそうな勢いである。連日の雨で、しかも復旧作業で教員住宅やグランドに車や人が通る機会が多いために至る所の地面がどろどろの泥濘になってしまっている。その度に砂利を買ってきては泥濘になった道路に敷いている。ようやく道路らしくなってきたが、これからどうなるのやら・・・。雪が降るまでにどこまで復旧作業が進むのか心配だが、もうすぐ(ここに来てから、私にとって二度目の)雪の季節に入る。




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