今月の一作品

2005年4月

ガネーシャ

「ガネーシャ」
 ララ・パンディット
縦39×横37×幅62センチ

*絵をクリックすると拡大図がご覧頂けます*

 この作品は、ミティラー美術館を襲った中越大地震によって壊れたのか、壊れていないのかまだ分からない。3メートル近いテラコッタや他の巨大な素焼きの作品はほとんどが破壊された。「ガネーシャ」に関しては数々の作品があった。
 今それらを捨てるべきか、直していくべきか迷っている。破壊された数の多さと修復の困難さ、限られた美術館の力、といった難しいところに今いる。特にこの作品を生んだララ・パンディット(兄)、ジャグディッシュ・パンディット(弟)の兄弟は半年以上の滞在を3年連続して、美術館に数々の作品を残していった。彼等自身がここをミティラー美術館ではなく、テラコッタ美術館ではないかと言うほど、大型の作品が美術館を占拠してきた。故高円宮様もシェルから生まれたガネーシャ神を気に入られ、ご自宅に飾られた。
 日本に滞在することでそのような出来事が多々生まれ、それが彼等の創造の力と制作に強い影響を与えた。彼等は芸術家と言うよりは村の伝統を支える陶工たちであり、村の人々から時には創造神ヴィシュヴァカルマと言われることもある。アウトカーストでありながら祭司のような役割をもつ職業集団。インドを40キロ歩けば陶工がまとまって住むところに出会うとも言われている。太古よりのこの技術集団の全インドの移動は、日本の縄文や弥生の時代の土器の制作者を考える上で示唆するものは大きい。





 (c) Copyright 1996/2005 Mithila Museum. All rights reserved.