今月の一作品

2004年12月

馬とパーンチシラー神

「馬とパーンチシラー神」
 バルー・ジヴヤ・マーシェ
縦センチ×横センチ

*絵をクリックすると拡大図がご覧頂けます*

 バルーが描く線は非常に美しい。なぜそう感じさせるのかわからないが、ミロの線を思い出させる。鹿児島の都城の美術館で、私が4トン車で絵を運び、彼と共にその展覧会に長期で滞在した時に、結婚式に描かれる絵から馬だけを描くように勧めた。結果、馬の周りに伝統的な四角い枠が描かれ結婚式の時に使われる道具や供物といったものが描かれていた。彼にとって日本は初めて、5つの祖霊神が乗る馬だけといっても、それは周りの四角い枠と一体なのであろう。その馬は非常に面白かった。そこで次は枠を取り外して馬だけというようなやり取り。いくつかのプロセスがあってこのような見事な作品が生まれた。その後、横浜アートトリエンナーレの時の周辺イベントとしての展覧会をワールドポーターズの展示場で開催した時には、長さ10メートル近い大きなキャンパスに馬だけを描いてもらった。その作品は東京・たばこと塩の博物館(東京)といくつかの場所で公開している。伝統の時間、民族の歴史によって造形がシンボライズ化された5神を乗せる馬。それをさらにクリエイトしたバルーはこれからいくつも新たな作品を生むことが出来るだろう。しかし、それなりな環境やサポーター、何かが加わらなければ生まれないかもしれない。そうであってもそうでなくても、村の中で穏やかな彼の生活は変わりなく続くだろう。そんな不思議なタイプの男だ。





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